100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
仕事が終わり、一度、家に帰ったあやめは基と出くわした。
見ないふりをしようとする。
基も見ないふりをしようとした。
いや、基が、
「外で待ち合わせとかしてみたいな」
と恥ずかしそうに言ったからだ。
……案の定、家で出会ってしまったではないですか。
あやめは、職場でも家でも着ない、ふわふわの白いファーのついた淡いピンクのワンピースにコートを羽織り、いそいそと下に下りたのだが。
玄関でまた、基と出くわしてしまった。
二人、見つめ合う。
「……仕方がないな」
とドアに手をかけ、基が言った。
「俺たちは余程相性がいいようだ。
一緒に行こう」
はい、とあやめは微笑む。