100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 あやめは、まっすぐ前を見たままだったので、横で基がどのような状態で居るのか、確認することはできなかったが、ずっと叫んでいる声だけは聞こえていた。

「あやめっ。
 脇に避けて、一旦、止めろっ」

「いえ、もう流れに乗ってしまいました」

 乗るなーっ、と叫ばれるが。

 運転に余裕がないときは、車の流れから出て、端に避けることが、まず難しい。

「とりあえず、避ける余裕が出るまで走ります」
とあやめは言ったが。

 あやめが呑気にオートマって、偉大だな……と思っている間も、基は横で悲鳴を上げ続けていた。

「それ、車線おかしいだろっ。

 スピード出しすぎるな!

 線を越えるなっ。

 だから、サードで曲がるなっ。

 事故せずたどり着けっ!」

 教習所か。
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