100-3は？ ～なにもかも秘密な関係～

　高倉がすぐに答えなかったので、基とあやめは顔を見合わせて言った。

「……忍者？」

　はは、と高倉は笑い、
「違いますよ。
　私はもっと現代的な職業の人ですよ」
と言う。

「しかし、この仕事はいいです。
　私が仕事を一生懸命やることにより、見られるのが、みなさんの笑顔というのが。

　恐怖にひきつった顔とかはでなく――。

　本当にいい仕事です」

　……いや、だから、あなた一体、何者なんですか？
とあやめが思ったとき、厨房から覗いたおばちゃんたちが高倉を手招きしているのが見えた。

「おおっと。
　そうそう、私、今日はおやすみをいただいてたんでした」

「じゃあ、なんで給仕してるんですか……」
と言ったあやめに高倉は、

「いえ、あやめ様たちの日常を眺めるのが私の趣味なので」
と言う。