100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「おっ、専務をエレベーターから降ろした女」
あやめがロッカーに寄ったあと、秘書室に行くと、同期の内藤和己が、聞いたぞ、と笑って言ってくる。
濃いめで豪快そうなイケメン顔だが、仕事となると、やたらと細かい男だ。
まあ、秘書だから、当たり前のことだが。
「いやいや。
専務は単に、自分が遅刻しても、誰にも叱られないからって譲ってくれたのよ。
……ほんと叱られないわよね、専務って役職についてると」
まだ若いのに、かえってやりにくくないだろうか、と思いながら、あやめは、内藤に言った。
「あんた、専務付きの秘書でしょ。
なにかあったら、叱ってやりなさいよ」
「専務をかっ。
なんて恐ろしいことを言うやつだっ」
さすが、専務をエレベーターから降ろした女は違うなっ、
とそこに基がいるわけでもないのに、おびえて、内藤は言う。