死者の幸福〜最期のメッセージ〜
藍がそう微笑むと、「ありがとう」と大輔が微笑む。その足元にはシェパードの子犬が尻尾を振っていた。

「カカオにご飯あげるね」

隼人がそう言うと、大輔は「ありがとう」と微笑みながら頭を撫でる。隼人は嬉しそうに目を細めた。

家で飼い始めた犬のカカオにご飯をあげ、三人は椅子に座る。

「いただきます!!」

三人で手を合わせ、ご飯を食べ始めた。

「藍、今日は俺が隼人を送っていこう」

「ありがとう。朝から解剖が入っていたのよ」

「隼人、今日はお父さんと保育園行こう」

「やった〜!!」

穏やかな空気の中、朝ご飯の時間は進んでいく。つけてあるテレビも明るいニュースを多く報道している。

「次のニュースです!俳優の前田周(まえだあまね)さんがあの映画界の巨匠××監督の新作映画の主演を務めることが決まりました!」

そのニュースに、藍はテレビの方を見る。前田周がにこやかに微笑みながら記者の質問に答えている様子が映っていた。
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