死者の幸福〜最期のメッセージ〜
「できた!」

「お母さん、すごい!教えて!」

午前中は隼人と折り紙をし、ショッピングモールへ買い物にも行った。午後からはカカオを連れてドックカフェにでも行こうと話した。

「お母さ〜ん!お手紙入ってたよ!」

お昼ご飯のパスタを藍が作っていると、隼人がポストから手紙を持ってやって来る。今朝は忙しかったため、ポストを見るのを忘れていた。

「ありがとう」

手紙は藍宛だ。差出人を見て、藍は「えっ……」と声をもらす。慌てて手紙の中身を見た。

差出人の名前には、睦月圭(むつきけい)と書かれていた。三人を殺害した後、自殺した妹を解剖してもらうために藍を誘拐し、一週間ほど監禁した人物だ。無期懲役の判決を受け、拘置所にいる。

『霧島先生、お元気ですか?僕は檻の中で一日を 過ごしているよ。こうやって過ごしていると、
 沙羅(さら)のことばかり考える。先生の言う 通りだったよ。僕がただ愚かだった。僕は最初 から頭のおかしな帽子屋だったんだ。いや、あ の三人を無慈悲に殺したんだから、ハートの女 王かな。沙羅が不思議の国のアリスが好きだっ たから、こんな風な手紙になったよ。
 ちなみに、先生と沙羅はアリスだと思うよ』
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