旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
反論しようとした瞬間、隆臣が助手席に身を乗り出して、不意打ちのキスで私の唇をふさいだ。私は息をするのも忘れ、目を見開いたままで固まる。
いくら赤信号で停まっているからって、運転中の彼にキスをされるだなんて、思ってもみなくて……。
「……こうやって俺が見境なくすから、あまり煽るなって言ってる。わかったな?」
やがて唇を離した隆臣に息のかかる距離で言い聞かされ、私は頬が熱くなるのを感じながら、必死でこくこく頷いた。
隆臣は「よし」と低い声で呟くと正面に向き直り、信号が青に変わると何事もなかったかのように運転を再開した。
ああ、ドキドキした……。隆臣ってときどき急にスイッチが入って、色っぽい大人の男性に豹変しちゃうんだもの。ただの同期だった頃は色気のない会話ばかりしていたせいもあって、ギャップに翻弄される……。
すっかり涼しい顔でハンドルを握る隆臣とは対照的に、私はいつまでも高鳴る胸の鼓動を抑えられなかった。