旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
……そろそろ、腹をくくって本当のことを話そう。理子は驚くだろうが、俺の身分がどんなものであろうと、彼女を愛していることに変わりはない。それをしっかり伝えれば、きっと理解してくれる。
俺はそう信じて、理子の体調もすっかり良くなった金曜の夜に、話をすることにした。会社から帰宅し、ふたりで分担して作った夕食をダイニングで食べている途中、意を決して切り出す。
「理子、あのさ……大事な話があるんだけど」
俺がそう言った瞬間、茶碗と箸を手にしていた理子の肩がびくっと跳ねた。それから、おそるおそる俺の顔を覗く。
「大事な……話?」
別れ話だとでも思っているのか、怯えた瞳をしている。どうやら不安にさせてしまったようだ。 ……でも、そんなに身構えるほどの話じゃないんだ。
「ああ。今までなかなか言い出すタイミングがなかったんだけど、俺、実は――」
この間理子も会ったガンベロの社長、海老名弘忠の息子なんだ。そうひと息に話そうとすると、理子が突然ガチャン!とテーブルに茶碗と箸を置き、お腹を押さえてうずくまった。