旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

「いたた……お腹、痛い……」
「大丈夫か?」

 苦悶の表情を浮かべる理子が心配で、椅子から立ち上がって彼女のそばに歩み寄る。そして背中を優しくさすっていると、背中を丸めたままの理子がぽつりと呟く。

「ごめん……今日はもう、シャワーだけ浴びてすぐ休むね」
「ああ、その方がいい。ここは片付けておくから」
「ありがとう……」

 よろよろと部屋を出ていく理子を心配しながら見送り、俺は残っていた夕食を適当につまんで、すぐに後片付けに入った。キッチンで洗い物をしながらも、理子のことが気がかりで落ち着かない。

 一週間の疲れが出たのかもしれないな……。月曜にはトラブルだらけのイベントを成し遂げ、熱中症で倒れたとはいえその後一日も休まず出勤して、残業もしていた。

 ……土日は俺が家事を一手に引き受けて、ゆっくり休ませてやろう。そうすれば理子だってまた元気になるさ。

 俺はそんなふうに思いつつ、キッチンを片付け終わると風呂に入り、その後理子の様子を見に寝室へ向かった。

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