旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
「明後日って……俺の……」
それに、あの敵対心に満ちた千葉たちの瞳……。理子を傷つけた俺の誕生日だから、〝祝いたくもない〟のか……?
だとしたら、依頼人はいったい誰だ? 父か叔母か……いや、もしかしたら……。
俺はふと、二度と関わり合いになりたくない、打算的なくせにそれを隠してぶりっ子じみた振る舞いをする、元許嫁の存在を思い出す。
あの女なら、一度は自分から婚約破棄をしたものの、手放してみたらもったいなく思ったとか、そんなくだらない理由で復縁を迫ってくるとしても不思議ではない。
彼女が依頼人だとしたら、当然理子とも接触している。そこであることないこと理子に吹き込んだ可能性も……。
居てもたってもいられなくなった俺は、踵を返して再び制作二課へと早足で戻っていった。そしてオフィスにずかずか入っていくと、帰ったとばかり思っていた俺の登場に四人がそろって怪訝な顔をしたが、俺は構わず告げた。
「さっき話していたイベント……クライアントの名前を教えてくれ」
「しつこいですよエビ先輩、いくら言われたって教えられな――」
「いいから言え!」