旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 秋山の言葉に被せて怒鳴り声をあげると、四人がびくっと肩を震わせた。そして困ったように目配せをし合った後、小木さんが代表してゆっくりと口を開く。

「鷹取佑香さんって人だけど……それがなにか?」

 予想通りの名前が出て、俺は思わず舌打ちをした。

「やっぱりか……。どうせ、やけに派手で金のかかった誕生パーティーを企画してるんだろう。ついでにロマンチックかつ俺が断りにくいような愛の告白を演出するように頼まれてる。招待者にはお互いの親族が入っていて、俺と鷹取佑香の結婚がそこで確実に決まるっていうシナリオだ」

 ひと息にそこまで話して聞かせると、四人はそろって目を丸くする。

「海老名さん、なんでそこまで……」

 不思議そうに尋ねてくる松下に、俺は自嘲をこぼして告げる。

「彼女とは不本意ながら付き合いが長いからな。どうせそんなろくでもない計画を立てているんだろうと思っただけだ」
「ってことは、もしかして……海老名くん自身は、鷹取さんとの結婚は望んでいない……?」

 小木さんに問いかけられ、俺は迷わず頷いた。

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