旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
「ううん、理子ちゃんだけはね、自分がつらいのを隠して、とっても真剣に、海老名くんと鷹取さんを幸せにしてあげようって思ってる。だから、理子ちゃんはこの計画を知らない」
「え……?」
てっきり、理子も俺に仕返しがしたいのかと……。
「この計画は、俺らの独断です。鷹取さんって人がすげえ会社の社長令嬢で、勝手にイベントの内容変更して彼女の顔に泥を塗るようなことしたらやべえってのはわかってますけど……それでも、あのお嬢様の言う通りにアンタたちの結婚をお膳立てするなんて、蟹江さんがあまりにも浮かばれないから……だから」
千葉の言葉の先を、松下が静かに続けた。
「俺たちだけで、蟹江さんの無念を晴らそうって……そう思って」
つまり、彼らは自分たちの立場が危うくなってでも、理子のために動こうとしていたのだ。
理子は、俺が思っていた以上に愛されていたんだな……。俺がリーダーだった頃よりずっと結束力の強い、頼もしいチームに成長したじゃないか。
俺は眩しいものを見るように目を細め、彼女のかわいい部下たちに告げる。
「なぁ……どうせなら、〝無念を晴らす〟より、もっと理子が浮かばれるイベントに変えないか?」