旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 それまで暗い顔で俯いていたしていた四人がパッと顔を上げ、澄んだ瞳で俺を見る。本当は彼らだって、理子を傷つけた俺に復讐するより、理子自身が幸せになることを望んでいるのだ。

「鷹取のお嬢様に関しては、俺が一切の責任を負う。だからみんなには、なにも知らない理子のフォローをお願いしたい。具体的には、そうだな……千葉、ちょっとどけ」

 俺は千葉を椅子から立たせて代わりに自分が座ると、パソコンを借りてさっそく自分の思い描くイベントのシナリオを打ち始める。

「おお……さすがは俺の憧れた海老名さん……」

 背後からパソコン画面をのぞいていた千葉が感心したように呟くと、秋山に松下、最後には小木さんも自分の席を立ち、俺の周囲に群がった。

「……蟹江さん、絶対に泣きますよこれ」

 眼鏡のブリッジを中指で押し上げながら、素直に感動している松下。その隣では、秋山がわくわくして目を輝かせている。

「反対にお嬢様は怒るだろうな~。ハンカチ噛みしめて〝キーッ!〟とか言いそう」
「うん。こんなイベントなら、私たち、喜んで海老名くんに協力する!」

 小木さんが笑顔で宣言すると、他のメンバーも次々に俺を見て頷いてくれる。

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