旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
その後隆臣に、泣きながらこの部屋から出て行った佑香さんと何があったのかと聞くと、彼は『ただこれを見せただけ』と、いくつかの書類と写真を見せてくれた。
「パ……パパ活?」
「そ。あのお嬢様、俺がいつまでも結婚に対して義務的な態度を崩さないから腹が立って婚約破棄したはいいものの、欲しい服やバッグを買ってくれる金ヅル的な存在を失って不自由してたらしい」
それは、佑香さんがひとりの老紳士と定期的にデートをして、その対価として現金を受け取っているという、いわゆるパパ活の現場を抑えた写真や、その報告書だった。
「こっちから問い詰めるまでもなく、『だってあの爺さん、耳が遠いから適当にニコニコしているだけでお金くれるんだもん!』って言いきるあの女にはもう説教する気も起きないっつーか、ただただ軽蔑した。あの女、定職に就こうともしないでフラフラしてるから、最近は本物のパパにも見放されてるらしい」
彼女の父親にそれを相談された隆臣のお父さんが佑香さんを警戒していたら、彼女の方から『やっぱり私、たっくんと結婚したいんです。おじさま、協力してくださいますよね?』と持ち掛けられたらしい。
おそらく金のためだろうと察していた隆臣のお父さんは彼女の調査をすることに決め、数日であっさりとパパ活の事実が明らかになったのだそうだ。