旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
両脇にキャンドルのあたたかな明かりが灯されたまっすぐなバージンロードを、祭壇に向かって一歩一歩進む。チャペルの一番奥には天井近くまである美しいステンドグラスが幻想的に輝き、その淡い光に照らされて、最愛の人が私を待っていた。
父から私を託された隆臣とともに、厳かな雰囲気の中で賛美歌を歌い、聖書の朗読を聞いた。そして牧師さんからの問いかけに応える形でとうとう結婚を誓い合うと、私たち夫婦の絆がよりいっそう揺るぎないものになるのを感じた。
「……今日の準備、すごく大変だったでしょう?」
指輪交換の際にこっそり隆臣に問いかけると、彼は悪戯っぽく微笑んだ。
「いや別に? 御曹司に不可能はないから」
……絶対に嘘。こんなに素敵な結婚式、簡単に用意できるはずがない。
私はそう思って、彼が誓いのキスのために私のベールを丁寧にめくった時、まっすぐその目を見つめて告げた。
「ありがとう。……愛してる」
「理子……」
隆臣は照れて微笑む私の腰をぐっと引き寄せ、誓いのキスにしては少々乱暴に唇をふさいだ。けれど、重ねた唇のぬくもりから彼の強い想いが伝わって、胸が熱くなった。
私たち、今度こそ絶対に離れない。みんなが繋いでくれたこのかけがえのない絆を、大事に大事に育てていきます――。
心の中で誓うのと同時に彼の唇が離れ、私の目からつうっと喜びの涙がひと筋流れ落ちた。