旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
カニがシャワーを浴びている間、リビングのソファに寝転びそんなことを考えていた時だった。初めて見るすっぴん姿の彼女が、Tシャツ一枚という無防備な姿で部屋に現れた。
『服、ありがとう。アンタのTシャツっておっきいから完全にワンピだよ』
……なんだ、このかわいさと色っぽさを同居させた小悪魔は。
上半身を起こして彼女をひと目見た瞬間、胸の奥がつねられたように痛み、俺はその初めての感覚に戸惑った。
『おかしいな……。カニにキュンとするなんて。彼シャツ効果か?』
思わずそう呟いて首をひねる。普段のカニなら、『失礼ね』とかなんとか言って、むくれるところだろう。そう思っていた俺は甘かった。
気がつけば、Tシャツ一枚の彼女がぴょんと俺の体に飛び乗って、悪戯な目で俺の顔を覗いていたのだ。
『……ふふ、ドキドキした? なーんて、ありえないか。私たち性別を超越した仲良し同期だもんね』
タオルケット越しに触れる柔らかな太股の感触。自分と同じシャンプーを使ったはずなのに、甘ったるく濃密に香る髪の香り。初めて間近に見たノーメイクの顔はどこかあどけなくて、それがたまらなく色っぽかった。
……彼女を押し倒さなかった俺は、なんて偉いのだろう。