旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
急に縮んだ距離に理子の頬が一気に赤く染まり、それを隠すように彼女はパッと俯く。それから、困ったように長い睫毛を何度もしばたかせながら、蚊の鳴くような声で言った。
「た……隆、臣」
「ん? ……もう一回。聞こえなかった」
なんて、嘘だ。本当は聞こえていたが、理子の反応がかわいすぎていたずら心に火がついてしまった。
理子はむくれた顔で俺を睨むと、やけくそで言い放つ。
「隆臣っ!」
甘い雰囲気はなかったが、名前を読んでもらえて嬉しいことに変わりはない。俺は「よくできました」と言って微笑み、そのまま顔を近づけて理子にキスをした。
「ん……!」
理子が驚いて身を引いたので一瞬唇が離れたが、間近で理子の潤んだ瞳と視線が絡むとたまらなくなり、俺は両手で小さな顔を包み込み、再び彼女の唇をふさぐ。
観念したらしい理子は緊張でこわばっていた体の力を抜き、ぎこちなくもキスに応え始めてくれる。
柔らかくて、甘い唇……中はどうなっているのだろうと確かめずにはいられなくなって、緩んだ唇の隙間から舌を滑り込ませた。