旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

「あの、手分けして探すなら私も協力します! お披露目まで、うちの社員たちになんとか場を持たせてもらいましょう!」
「蟹江さん……。人手が増えるのはありがたいが、赤ちゃんとはいえ噛むこともあります。大丈夫ですか?」

 園長が心配そうに私の顔を覗き込むけれど、私は迷わず「大丈夫です」と答えた。すると園長も私を仲間に加えることに頷いてくれ、虎之助の特徴、抱っこの仕方など、細かく教えてくれた。

 その後、飼育員さんたちと探す場所を分担し、それぞれ園内へ散る。

 私はキョロキョロ辺りを見回し、少し離れたところで着ぐるみを脱ぎ、ひと息ついていていた萌子さん、梢ちゃん、松下くんを見つけると、慌てて彼らに指示した。

「ねえ、せっかく着ぐるみ脱いだところで悪いけど、もう一度ステージに上がってくれる? ホワイトタイガーの赤ちゃんが一頭行方不明で、探さなきゃならなくなったの! アドリブでもなんでもいいから、とにかく時間を繋いでほしくて……司会者さんと千葉くんにもうまく伝えてもらえると助かる!」

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