旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
「はぁ……いないな……」
頭上からは夏の太陽がぎらぎらと照りつけ、額や首筋に汗が流れる。
あぁ……暑い。ステージ裏から飲み物持ってくるんだった。でも、そんなことより早く虎之助を見つけないと……。
自分を奮い立たせて立ち上がり、次はすぐそばにあるお土産屋さん周辺を捜そうと歩き出したそのとき。
「ん……? あのぬいぐるみ、動いてない……?」
店頭に設置された棚の一番下に、猫サイズのホワイトタイガーのぬいぐるみが陳列されているのだが、一番端のぬいぐるみが、もぞもぞと動いているように見える。
「まさか……」
そんな、ぬいぐるみを仲間だと思って一緒に並ぶなんてことある……?
半信半疑で慎重に歩みを進めていくと、そのぬいぐるみは呑気にうーんと首を伸ばし、大きなあくびをした。
み、見つけたーっ……!
私は辺りをキョロキョロ見回して人目がないことを確認すると、素早く虎之助の体を抱き上げて、他の人の目に触れないよう、植え込みの中に隠れた。