きみに光を。あなたに愛を。~異世界後宮譚~
第18話(2):高慢と嫉妬。
甲高く中性的な声……宦官リボルの声だ。
扉の外から誰かしらの押し問答が聞こえる。
一瞬静まり観念したかのように静かに扉が開け放たれた。
と同時に、衣擦れの音とともにすらりとした女性が扉をくぐり、長椅子に並んで腰をかける二つの影を忌々し気に見つめた。
「まぁなかなか通してもらえぬと思うたら……。ほんに仲のおよろしいこと」
と艶やかなけれども差すような毒を含んだ声を発した。
声の主……丁寧に結い上げた髪に大ぶりな真珠の髪飾りを差し豪奢な衣装を身にまとった第一位の皇妃ヤスミンである。
今日の装いは一段と豪華で皇后と言われても違和感がないほどの貫禄だ。
「無位からここまで登っていらしたうえに御寵愛も深いとは、うらやましい限り。のぅ、アセナ殿」
「ヤスミン様!」
振り返りながらアセナは慌てて立ち上がると深く頭を下げた。
アスラン来訪でごたごたしてしまい後手に回ってしまっていたが、本来ならばヤスミンとの約束の時間である。
すっかり油断してしまっていた。
「よ……ようこそおいでくださいました。お出迎えできず申し訳ございません」
アセナは動揺を隠せない。
ヤスミンは感情の読み取れない笑顔を浮かべ、スッスと衣擦れをさせながら何とも優雅に歩み寄り、朗らかに祝いの言葉を述べた。
「アセナ殿。皇妃への昇格おめでとうございます。この度はほんによろしゅうございました」
「ありがとうございます」
アセナの胃がキリリときしむ。
扉の外から誰かしらの押し問答が聞こえる。
一瞬静まり観念したかのように静かに扉が開け放たれた。
と同時に、衣擦れの音とともにすらりとした女性が扉をくぐり、長椅子に並んで腰をかける二つの影を忌々し気に見つめた。
「まぁなかなか通してもらえぬと思うたら……。ほんに仲のおよろしいこと」
と艶やかなけれども差すような毒を含んだ声を発した。
声の主……丁寧に結い上げた髪に大ぶりな真珠の髪飾りを差し豪奢な衣装を身にまとった第一位の皇妃ヤスミンである。
今日の装いは一段と豪華で皇后と言われても違和感がないほどの貫禄だ。
「無位からここまで登っていらしたうえに御寵愛も深いとは、うらやましい限り。のぅ、アセナ殿」
「ヤスミン様!」
振り返りながらアセナは慌てて立ち上がると深く頭を下げた。
アスラン来訪でごたごたしてしまい後手に回ってしまっていたが、本来ならばヤスミンとの約束の時間である。
すっかり油断してしまっていた。
「よ……ようこそおいでくださいました。お出迎えできず申し訳ございません」
アセナは動揺を隠せない。
ヤスミンは感情の読み取れない笑顔を浮かべ、スッスと衣擦れをさせながら何とも優雅に歩み寄り、朗らかに祝いの言葉を述べた。
「アセナ殿。皇妃への昇格おめでとうございます。この度はほんによろしゅうございました」
「ありがとうございます」
アセナの胃がキリリときしむ。