記憶の中の溺愛彼氏

深夜まで続いた退院祝いの飲み会も、やっと解散した。
これからも頑張れよとか、困ったことがあればすぐに伝えるように、とおじさん達に励まされた。

美亜とは明日会う約束している。
翔君とは、これからの話はしてなくて、私はどうしていいのか分からなかった。

別れ際に「また会いにいくから」
そう言ってタクシーに乗って自宅へと戻っていった。
家族と一緒に住んでいるのかと思ったら、会社近くのマンションに住んでいるらしい。

「翔は、せっかく香奈との今後の為にマンション購入したのに、事故のことで不安だし親と住む方が安心だって、一人で寂しく暮らしてるんだぜ、俺が代わりに住んでやるっていったら冷たい目で断られたよ。可愛げのない奴め！」

ブツブツと、不満を言いながら年上の俺を舐めてると愚痴ってた。

「…私のため？」
「まあ、二人の時間が大事なんでしょうね〜」
ふふっと、今度は樹のかわりに美亜が意味深な物言いで私をからかう。