記憶の中の溺愛彼氏
一夜たって、美亜から家の方に来るように連絡がきて、2階の部屋に通された。
「ねえ見てよ、アルバム用意したの!」
懐かしい部屋をぐるりと見回しして、机に置かれたアルバムに目が止まる。

「高校は別々だったけど、色々相談に乗ってたし、写真を見てイメージできるから何か思い出すかもよ」
美亜の隣に腰を下ろして、開いたアルバムを覗く。
「これ高校の入学式の写真、制服違うけど一緒に写したよね!」
「覚えてるよ〜」
「あと、大人数でバーベキューに行った時でしょ、これはディズニーに樹達と一緒に行った時の写真!」
「あはは、樹って変な顔して写ってるわ!」
「うける!」
「これは文化祭で学校に遊びに行った時ね、この頃は翔君も一緒に遊んでたね!」
「なんか、みんな若いね〜」
「今はなんか、カッコいいじゃなくて、ガタイがいいよね〜、良く言えばスーツの似合うビジネスマン、悪く言うとオッサン化してるよね〜」
「ププッ!だよね!」
何気ない話をして、高校の頃の話から大学の受験の話をしたり、大学でのサークルの話を色々話した。
知ってることもあれば、ピンとこない話もあって、自分の事なのに記憶が曖昧…。
写真を見て、フラッシュバックのようにフッとその場面が蘇ることもある。
意識は17歳の頃の記憶が鮮明で、でも大学での話の中に記憶がスッと当てはまることもあるのだ。

「…まあ、当分は通院して定期的に異常がないかをチェックするけどね」
「しっかり診てもらってね!」
「了解!」
アルバムを最後まで見終わったところで、おやつタイムしようと、美亜が色々なお菓子を用意してくれた。
「香奈が好きなお菓子だよ!最近ハマってたミント系や、激辛シリーズ!」
「嬉しーい!」
興味を引いた包みから開けて、パクっとひとくち頬張る。
「これ、好きな味!」


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