記憶の中の溺愛彼氏
好きだった人
高校の友達でお見舞いに来てくれた静香ちゃんに電話をしてみた。
体は大丈夫なの?と聞かれ、記憶が欠けていることを心配してくれたみたいだった。

「ありがとう…」

「無事でよかったよ、本当に。聞いた時はびっくりしたよ!」

「うん、私も17歳だと思ったら25歳って言われて信じたくなかったよ〜」

「私だったら勉強したくないから学生に戻るのは嫌だな」

「けれど学校イベントもあったから楽しかったよね今思うと」

「とくに香奈は彼氏もいたから幸せ絶頂期だったでしょ?」

「緑川先輩?」

「そう、今は立派な社会人だけど。モテてたよね先輩って!香奈と付き合いだして、皆んな羨ましがってたわ」

「今は先輩って、どうしてるの?」

「んん?…もしかして未練あるとか?」

「そういうわけじゃないけど…」

「あ、そっか、記憶17歳のままだよね…うーん…どうしようかな…」

「何?」

「今度先輩と同じ部活だった友達と会うから、セッティングしようか?断られたらごめんだけど…」

「え…本当に?」

少し後ろめたさを感じながらも、好きだった先輩と会えるなんて嬉しいと思ってしまった。

「ありがとう…」

「日時決まったらまた連絡するね!またね」

「バイバイ」

こんなに早く先輩に会えるなんて期待してなかったのに、どうしよう…


それに…
今は恋人の翔君に伝えた方がいいよね…?



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