記憶の中の溺愛彼氏
休日になって、高校の友人の静香ちゃんと会うことになった。
静香ちゃんは友達と一緒に緑川先輩も連れてくるからと教えてくれた。
実際に静香ちゃんの友達の大輝って人は、彼氏候補みたいで最近はよく会ってたりするらしい。

「静香、久しぶり！」
席で待ってた私達に大輝さんは愛想良く手を振り
、隣に座っている私に気づくとペコっと挨拶をした。
大輝さんの横に優しそうな雰囲気の男性の姿が見えた。

柔らかな空気を纏って、自分が知ってる先輩の姿に思わず泣きそうになった。
私と目が合うと、ニコッと優しい表情を向けてくれた。

「お久しぶりです…先輩」

向かいの席に着いた緑川先輩は、高校の時より数段カッコよくなっていて、人当たりの良い性格は、私の緊張を解きほぐそうとしてくれてるのが分かった。

「綺麗になったね、香奈ちゃん」
じっと、私の顔を見つめながら先輩がそう言って熱い眼差しを向けた。

「ありがとうございます…」
少し恥ずかしくて思わず目線を外してしまった。
「全然変わらないね…そういうところ。」
「そうだよね、香奈って、先輩の前だと凄く緊張してたよね？」
静香ちゃんが思い出したかのように、ニヤニヤ笑ってる。
「そうだったかな…？」
「そうだったよ！懐かしいわ、本当に！17歳の香奈が戻ってきた感じ、おかえり〜香奈〜」
そう言って静香ちゃんは私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「え、何？なんで？」
事情がわからない二人は静香ちゃんの行動に訳が分からないようだった。

「ああ、ごめんね。こっちの事情でちょっとね…。実は今回、香奈が緑川先輩にあってみたいって言ってたから、機会を作りたかったのよ…ね？」

「うん…」
私は思い切って自分の事故のこと、記憶が高校ぐらいから現在まで覚えていないこと、失った期間に何があったのかを知りたいことを話してみた。


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