記憶の中の溺愛彼氏
なんだか急展開に、気持ちは追いついていなくて、心配になって美亜に聞いてみた。

美亜は何でも相談に乗るって言ってたし…話をすると、すぐに会えることになって、美亜の家にお邪魔した。

冷たいお茶を出してくれて、それを一口飲んで心を落ち着かせる。
「…昨日、高校の友達に会ったんだけどね」
「うん、静香ちゃんって子だね」
「そう、高校の時に付き合ってた先輩のことが気になってたから、話してみたら会う機会を作ってくれて…先輩から今度は二人で会いたいって言われたの…」
「そっか、高校の彼氏さんか…」
「緑川先輩のことは知ってる?」
「少しね。一度も会った事はないから顔は写真でしか知らないかな、好きな先輩と付き合える事になったって言ってあの頃は喜んでたけど…でも、先輩が卒業する前には別れてたのよね…」
「そうなんだ…受験があるから別れたのかな?」
「さあ…そうかな?」
その辺りは分からないと美亜に言われて、今度会うんだし、本人に聞けるからいいねってからかわれた。
「それで連絡はきたの?」
「うん、来週映画を見ようかって…」
「初デートだね」
「うん」
「まあ、記憶がないんだし先輩との思い出が増えるといいね…楽しんできてね」
美亜にそう言われて、少しホッとする。

私の中で、記憶は思い出さないといけない事で、そのことに少しストレスを感じていたから。
普通にデートを楽しんでって言われて嬉しかった。



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