記憶の中の溺愛彼氏
初デート
緑川先輩との約束の日。
朝から誰かが訪ねてきて、玄関先で両親が話し込んでいる。
もしかして美亜?と思って、顔を出したら翔君だった。
「おはよう、香奈の顔を見たくなったから、家に押しかけてみたんだ…今日の予定は?」
「…えっと、今日は高校の時の友達と約束があって…その、ごめんなさい…」
「いいよ、顔を見れただけで充分だから」
と翔君は気にしてない様子だった。
両親はせっかくだから、時間まで二人でゆっくりしてったらと言って、翔君を家に招いた。
私の部屋に入ってもらって、飲み物を持ってくるねと声をかける。
キッチンから戻ってくると、翔君は立ったままで、本棚を眺めながら考えごとをしているようだった。
「コーヒーどうぞ」
机の上に二人分のコーヒーを置いて、私は座布団の上に腰を下ろした。
「ありがとう」
私が座るのを待っていたみたいで、翔君も座布団の上に座った。
「…香奈、今日はどこへ…?」
「お出かけ先?」
「そう」
「映画にいくつもりだけど…」
「…家に迎えに来たりするのか?」
「ううん、西口に11時だけど…」
「わかった。そこまで送るよ」
「いいのに…」
「少しでも香奈と一緒にいたいだけだよ」
翔君は素直なのか、恥ずかしげもなくそう言う。
「どんな映画を見る予定?」
「…静香ちゃんにオススメされて、小説の実写版なんだけど…」
「ああ、それ、今人気ある映画だね」
「そうなんだ」
「泣ける話で感動したと、テレビで話題になってたよ」
「本当に?」
「ああ」
澄ました顔をして、翔君は出されたコーヒーを飲み干す。
私がチラッと時計を確認したら察したみたいだった。
「ごちそうさま…駅に11時ならそろそろ出ようか?」
「翔君、ありがとう」
私はお礼をいって、翔君の車に乗せてもらうことにした。
朝から誰かが訪ねてきて、玄関先で両親が話し込んでいる。
もしかして美亜?と思って、顔を出したら翔君だった。
「おはよう、香奈の顔を見たくなったから、家に押しかけてみたんだ…今日の予定は?」
「…えっと、今日は高校の時の友達と約束があって…その、ごめんなさい…」
「いいよ、顔を見れただけで充分だから」
と翔君は気にしてない様子だった。
両親はせっかくだから、時間まで二人でゆっくりしてったらと言って、翔君を家に招いた。
私の部屋に入ってもらって、飲み物を持ってくるねと声をかける。
キッチンから戻ってくると、翔君は立ったままで、本棚を眺めながら考えごとをしているようだった。
「コーヒーどうぞ」
机の上に二人分のコーヒーを置いて、私は座布団の上に腰を下ろした。
「ありがとう」
私が座るのを待っていたみたいで、翔君も座布団の上に座った。
「…香奈、今日はどこへ…?」
「お出かけ先?」
「そう」
「映画にいくつもりだけど…」
「…家に迎えに来たりするのか?」
「ううん、西口に11時だけど…」
「わかった。そこまで送るよ」
「いいのに…」
「少しでも香奈と一緒にいたいだけだよ」
翔君は素直なのか、恥ずかしげもなくそう言う。
「どんな映画を見る予定?」
「…静香ちゃんにオススメされて、小説の実写版なんだけど…」
「ああ、それ、今人気ある映画だね」
「そうなんだ」
「泣ける話で感動したと、テレビで話題になってたよ」
「本当に?」
「ああ」
澄ました顔をして、翔君は出されたコーヒーを飲み干す。
私がチラッと時計を確認したら察したみたいだった。
「ごちそうさま…駅に11時ならそろそろ出ようか?」
「翔君、ありがとう」
私はお礼をいって、翔君の車に乗せてもらうことにした。