記憶の中の溺愛彼氏
駅のロータリーに降ろしてもらって、翔君とはそこで別れた。
映画館は駅の南側にあり、歩いていくとすぐのところにある。
だから駅前で待ち合わせをしたんだけど…
キョロキョロしながら緑川先輩の姿を探す。

改札を出てくる人混みの中に先輩を見つけた。
向こうからも私に気がついたみたいで、ここだよって分かるように胸元で小さく手を挙げた。

「待たせたね」
待ってる私にニッコリと優しい笑顔。
「いえ、全然…」
先輩の顔を見ると、やっぱり懐かしいような、緊張をするようなそんな気持ちになってくる。
「じゃあ、行こうか」
「はい」

私達は映画館までの道のりをゆっくりと歩きながら、二人だけの時間を過ごした。
先輩は打ち解けやすい性格なのか、色々な話をしてくれて、街並みを探索しつつ、私を楽しませてくれた。

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