記憶の中の溺愛彼氏
「どうしてここにいるの!」

責めるつもりはないけど、文句を言いたくなる。

「俺も今日はオフ日で、見たいと思った映画の話をしていたから、見たくなっただけ…」
「じゃあ、ここの店は?」
「小腹が空いて、我慢ができなくなったからだけど?」
「………」

苦しい言い訳を平気な顔をして言う翔君。

大人の雰囲気で、しかも周りがざわめくようなカッコよさなのに、実は残念な性格なのかな?

私が言葉に詰まっていると、翔君は自分が言った言葉が恥ずかしかったのか、耳元が赤く染まった。

…照れてる

なんだか、私が良く知る翔君に戻ったみたいで、安心した。

「翔君が心配なら早く帰るようにするから…」

私が先輩に浮かれて、彼氏だったはずの翔君を不安にさせてしまって、自分勝手だったなと反省した。


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