記憶の中の溺愛彼氏
「白石さんは以前はどこにお勤めだったの?」
「通勤は電車?」
「分からない事は聞いてね」

新しい職場は優しい方達ばかりで、不安だった私も少しずつ打ち解けていった。
年齢が近いということで、姉御風の黄田さんはよく話かけてくれるし、おっとり系の桃田さんはお菓子の飴やチョコをくれる。
目の前のデスクの灰島君は人懐っこい感じのワンコ系でみんなに可愛がられている。

「ねえ、ちょっと聞いてよ!」
総務課で新しい情報を仕入れてきたといって、黄田さんは急いで椅子に座った。

「総務の黒田さん情報よ、なんと今年のイケメン独身若社長ランキングに"我が社の神社長"、宇都宮社長がランクインしました!!はい、しかも!
(ドラムロール)ドゥルル…ル!なんと2位っ!」

「おおっ!!」
「すごいね〜」
「今度雑誌のインタビューで1位の鶯谷グループの御曹司と対談ですって〜」
「カリスマですね〜」

翔君の話だって分かっているものの、別世界の人のようで、しっくりこない。

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