記憶の中の溺愛彼氏
私は噂を聞いてから、仕事に集中しないといけないのに、翔君と専務の従姉妹さんのことが気になって仕方なかった。

そんな気分を変えたいと思い、休み時間に外の空気を吸おうと玄関口の自動ドアから外へと出た。

同僚にはお昼に誘われたけど、コンビニに用事があると伝えておいたので、この時間はゆっくりするつもりだ。

私が外へ出ていく時に、ちょうど1台の車が来客用の駐車スペースに停車した。

運転席のドアが空いて、運転手がドアボーイの役割をしている。

車から出てきたのは翔君だった。

奥には噂の女性が座っている。

翔君が手を差し伸べ、女性はその手の上に自分の指先をそっと乗せた。

私はというと、映画のワンシーンのように思いながら、呆然と二人を眺めていた。


そんな私の視線を感じたのか、気配に気付いてこっちを振り向く翔君の視線とぶつかった。

「………!」

何か言おうとする翔君のことは無視して、私は真っ直ぐスタスタ歩いていった。

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