記憶の中の溺愛彼氏
私達は食事を取り終えて、くつろぎながらお喋りに夢中になっていた。

「こんばんは」

後方から声をかけられて、振り返ると鶯谷専務と噂の従姉妹さんが立っていた。

二人が並ぶと、服装も華やかなせいか、特に際立つ。

専務はニッコリと微笑みながら私に握手を求めてきた。

「この前は失礼したね。あの後、翔から二人の仲が戻ったって聞いたよ。これからも宜しく」

「はい…宜しくお願いします」

気まずさはあるものの、避けるわけにはいかないから笑顔を向けて握手をした。

専務の横にいる従姉妹からの視線が、冷たく刺すようで居心地が悪かった。

翔君の相手が私だと分かってるような雰囲気だ。
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