記憶の中の溺愛彼氏
その場は当たり障りの無い会話をして、やり過ごすことになった。

パーティーも佳境に入り、芸能人のゲストで盛り上げたり、あちこちで談笑をしている人達もいた。

私も美亜と樹がいたおかげで、楽しく過ごすことができた。美味しい料理にありつけて、ドレスアップしたおかげでいつもより自信が持てたから。

翔君は関係者への挨拶周りの合間に、時間を作っては顔を出してくれた。

「着飾った香奈を見るのは久しぶりだ」
翔君にそう言われると、嬉しいけど少し照れるかも。

美亜と樹も一緒だから、翔君が私の側にいても余り目立たないからか、プライベートな会話をしても周りからは分からない気がする。

「香奈、今日は遅くなりそうだから、先に家で待ってて」
「私が行ったら疲れない?」
「香奈に会うと癒される」
「ふふ、分かった。あとで家に寄るね」

二人の世界に入ったところで樹が、「あーもう、ご馳走様、聞いてられんわ!」と言い出した。


私と翔君を残して、美亜と樹は飲み物を貰いにカクテルコーナーに消えていった。


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