記憶の中の溺愛彼氏
…守られるって気分が良い。

大切な人が自分を信じてくれるだけで、冷えた気持ちが温まる。

予定を変更して、美亜達には先に帰ってもらい、私は翔君と一緒にマンションへ帰ってきた。

パーティーで嫌な思いをしただろうと翔君は気遣ってくれた。

私が記憶を取り戻したことを言うと、翔君は少し残念そうだった。

「…記憶のなかった時の香奈も初々しくてよかったな、慣れない感じで可愛かったし」

「今は可愛く無いわけ?」

「香奈はいつでも可愛くて好きだよ…」

そういうと私の顔に近づいてきて、優しく唇を奪う。

とろけるように何度もキスを繰り返し、忘れていた記憶の分まで愛しさが増した。

「香奈…思い出してくれてありがとう」

私の頭にチュッと軽いキスをして翔君がお礼を言う。

「…記憶が無いままの私って、心配だった?」

「いや、全然」

当然のように翔君はそう言った。

「愛の力を信じてたとか?」

「…記憶を無くしても、すぐに思い出せると信じてたよ。愛の力っていうより、俺に愛されまくってたからね。俺に刻みつけられてた反応もあったし…思い出せるだろうなって」

恥ずかしげもなく、そう言う翔君。

愛しくなって、私からもキスをした。

翔君のこと思い出せて本当に良かった。

好きな人との思い出は、一つも忘れたくはないから…

「…婚約は続行でいい?」

翔君に質問されて、私は「はい」と答えた。


抱きしめられた感じが懐かしくて、幸せだった。


完成

2021.1.7
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