記憶の中の溺愛彼氏
不安はあったものの、楽しい雰囲気を壊したくなくて、とにかくニコニコしてた。
お酒も入り、おじさん達や両親はいい感じに酔っ払っていた。
深夜近くまでワイワイ騒ぎ、私に合わせて昔にあった話や、最近の出来事を自分達の思い出と共に教えてくれた。
「香奈は変わってねえな〜」
「それは樹でしょーぉ!精神年齢変わってないよ〜」
昔からの二人のやりとりに少し安心する。
大人の雰囲気はあるものの、やり取りは確かに変わってないやって思う。
私もすこし緊張が溶けてきて二人に合わせて笑うことができた。
「…美亜、その…色々教えてね?」
「もちろん!私は何でも知ってるからね!」
確かに美亜には昔から相談してきたから、この空白の何年かもきっと知ってるのだろう。
知りたい事がいっぱいありすぎて、明日また会ってくれることになった。

私はとにかく先輩のことが知りたかった。
あんなに好きな先輩と別れることになったのかって不安しかなかったから。

そろそろお開きというところで奥の扉が開いて、背の高い男性が入ってきた。

…翔君だ。
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