rikulu bulls
「…ただ今戻りました。」

大きなとびらを開け、俺は挨拶(?)をした。

先生の目の前に回収した
『ライクルブルズ』を綺麗に並べた。

ほかの生徒達の視線が痛い。

きっと俺はほかのみんなより少ないだろうし。

俺が回収したのは
『ライクルブルズ』3個。

あー、やっぱ皆んなより少なかった。

4個は軽く超えてるね。

そんな俺の心を無視して
先生は言った。


「…紺珠、もう少し頑張りなさい。せっかく良い
『ライクルブルズ』なんだから。」


そんな言葉を吐いて先生は職員室に
『ライクルブルズ』を届けに行った。

良い『ライクルブルズ』、ね。

アンタに言われても嬉しくないよ。

俺は出来る事なら『ライクルブルズ』を
使いたくないんだ。

…こんな世界大っ嫌いだ。

俺だって一生懸命に闘ってる。

なのにそれを“頑張りなさい”?

ふざけないでよ。

自分は何もしてないくせに。

何が「教師」だ。

何が「人は平等」だ。

『ライクルブルズ』がある時点で
そんな言葉は無意味なんだよ。

『ライクルブルズ』にだって強さがある。

一人一人が同じ力じゃないんだ。

最初から凄い力の奴もいれば
俺みたいな普通の奴ら、
戦闘に役立たない奴だっている。

俺らは何の為に生まれてきたんだろうね?

はは、こんなこと考えても意味はないけれど。

はあ、俺は溜息をつきながら

廊下を歩いて行く。



「すっっっっっっっっちゃぁん!!!」



…。うるさい奴が来たな。



「うるせぇ殺すぞ。」


そんな言葉吐き捨てながら
俺は其奴の方に振り返った。

黒いワンピースに桃色の薔薇が付いている。

肩に少しつくぐらいの髪型で
薔薇のヘアピンをしている。

ん?またアイツ本持ってるな。


「…今度は何の本だよ。」

「愛情と殺意♡」

「お前らしい。」

「でしょ?」


そう答える此奴は死川天病(シカワアマビ)。

こう見えて此奴も『ライクルブルズ』を持っている。

『ライクルブルズーレーピングコンピレフェイシェン』

読解力。

それが此奴、天病の『ライクルブルズ』。

相手の攻撃方向、範囲、種類まで予知できる。

かなり役に立つ『ライクルブルズ』だ。

え?

さっきまで『ライクルブルズ』を否定してた癖に?

ハハ、確かにな。

でもこれを持っているのならば、

俺らは戦わなきゃなんない。

戦いやすいかって言う話だよ。

確かに否定してたけど。








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