rikulu bulls
ん?アレって何だって?
いやマジで知らん方がいいぞ。
天病の好きな人の左手。
彼奴いっつも持ち歩いてんだよ…。
あー…吐き気が…。
気持ち悪…。
一応見慣れてるは見慣れてるんだけど。
こうも近くにあると吐き気が半端ない。
はあ、どうしてこうも…。
いや、何でもない。
「天病、とりあえずしまってくれ。」
「え〜。」
「え〜。じゃない。早くしまえ。」
ホント、此奴はどうかしてるよ。
俺は目をそれから背けてため息を吐いた。
ふて腐れながら天病はしまった。
トン…。
肩を叩かれた。
俺はかなり敏感だから其奴の手を思い切り叩いた。
振り返りその人物を確認すると安心した。
「…背後から叩くのはやめてくれ。」
ため息混じりに俺は言った。
其奴は俺の方を見ると、
「ごめん、つい。」
と、謝った。
此奴は弧奇墨公太郎(コキズミコウタロウ)。
俺が女なのは知らない。
「弧奇墨、何でここに居るんだ。」
「…いや、たまたま?」
「何故疑問系…。まぁ、いいや。
兎に角俺には触るなよ。」
「うん、気をつける。」
ちょっとパッとしないけど此奴もトラウマ持ち。
いい奴なんだ。
だから、女で男性恐怖症なんて言わない。
きっと距離を置かれるだろうから。
それが怖くて言えないなんて、友達じゃ無いよな。
はあ、俺はもう一度ため息をついて歩き出した。
ん?何処にって?
そんなん保健室に決まってんだろ。
一応、見てもらわんとセンセに怒られっからな。
「それじゃ、後でな弧奇墨。」
「うん、じゃあね。」
俺は弧奇墨に挨拶してから天病と保健室に向かった。
目を伏せた俺を見て天病は心配そうに尋ねた。
「大丈夫?」
「多分大丈夫。それに彼奴は天然だから仕方ない。」
そう、仕方ないんだ。
そう割り切ってるつもりだ。
でもやっぱ怖いままだ。
だって俺が彼奴の手を払った時の顔、
スッゲェしかめっ面で怯えてたぞ。
…バレたかな。
バレてないといいな。
まだ、きっと大丈夫だ。
でもそろそろ彼奴が勘付くかもな。
まぁ、そん時はそん時だ。
俺は大きく深呼吸をすると、保健室の戸を開ける。
「失礼します、阿伎留(アキル)先生。
紺珠と死川です。」
「…また君達なの〜?今度は何して…。」
「えっと、天津烙先生の襲撃にあって怪我がないか
診てほしくてきました。」
「ほんっとに気をつけてよ〜?女の子なんだから。」
最後のは気を使って小さめに言ってくれた。
文句言いながらも診てくれる阿伎留先生は優しい。
先生の中で一番優しいかもな。
「天病ちゃんの方は特に大丈夫。
さ、紺珠ちゃん、ここにお座り。」
阿伎留先生は自分の前にある椅子を指して言った。
「ちゃんはやめてくださいって。」
俺は抗議しながら座った。
器用な手つきで診察していく。
ピタリと阿伎留先生の手が止まった。
チラリと俺が先生の方を振り向くと、
険しい様な、悲しい様な顔をしていた。
「先生?どうしました?」
先生の機嫌を伺いながら俺は尋ねる。
「紺珠ちゃん…。」
次の瞬間俺を背後から抱きしめた。
「…!?」
「…頑張ったね、怖かったよね…。
泣いてもいい、愚痴ってもいい、だから、」
一呼吸置いて先生は俺に言った。
「我慢しなくていいからね…?」
さらに抱きしめる力が強くなった。
「先生、大丈夫だよ、俺は我慢なんかしてない。
怖くもないよ。だから安心して?」
俺は向き直って
優しく先生に微笑みかける。
「…何で先生泣いてんですか…。」
凄い顔がグシャグシャだ。
俺はつい、フ、と吹き出してしまった。
「…何で笑うの。」
「だってセンセ、顔グッシャグシャ…!!」
笑いを堪えられず爆笑してしまった。
「あははは!!セ、センセ、その顔やめて w」
俺の笑顔を見て安心したのか先生も笑った。
「紺珠ちゃん、背中にね痣があるの。
多分押し倒された、と思うんだけど。」
「そうですね。」
即答していく俺。
阿伎留先生は心配そうに言った。
「…制御剤、いる?」
制御剤とはトラウマが蘇り、
理性が抑えられなくなった時にもらうものだ。
「大丈夫っすよ。」
俺は笑顔で立ち上がりながら、
「それじゃ失礼します。」
と、保健室を後にした。
いやマジで知らん方がいいぞ。
天病の好きな人の左手。
彼奴いっつも持ち歩いてんだよ…。
あー…吐き気が…。
気持ち悪…。
一応見慣れてるは見慣れてるんだけど。
こうも近くにあると吐き気が半端ない。
はあ、どうしてこうも…。
いや、何でもない。
「天病、とりあえずしまってくれ。」
「え〜。」
「え〜。じゃない。早くしまえ。」
ホント、此奴はどうかしてるよ。
俺は目をそれから背けてため息を吐いた。
ふて腐れながら天病はしまった。
トン…。
肩を叩かれた。
俺はかなり敏感だから其奴の手を思い切り叩いた。
振り返りその人物を確認すると安心した。
「…背後から叩くのはやめてくれ。」
ため息混じりに俺は言った。
其奴は俺の方を見ると、
「ごめん、つい。」
と、謝った。
此奴は弧奇墨公太郎(コキズミコウタロウ)。
俺が女なのは知らない。
「弧奇墨、何でここに居るんだ。」
「…いや、たまたま?」
「何故疑問系…。まぁ、いいや。
兎に角俺には触るなよ。」
「うん、気をつける。」
ちょっとパッとしないけど此奴もトラウマ持ち。
いい奴なんだ。
だから、女で男性恐怖症なんて言わない。
きっと距離を置かれるだろうから。
それが怖くて言えないなんて、友達じゃ無いよな。
はあ、俺はもう一度ため息をついて歩き出した。
ん?何処にって?
そんなん保健室に決まってんだろ。
一応、見てもらわんとセンセに怒られっからな。
「それじゃ、後でな弧奇墨。」
「うん、じゃあね。」
俺は弧奇墨に挨拶してから天病と保健室に向かった。
目を伏せた俺を見て天病は心配そうに尋ねた。
「大丈夫?」
「多分大丈夫。それに彼奴は天然だから仕方ない。」
そう、仕方ないんだ。
そう割り切ってるつもりだ。
でもやっぱ怖いままだ。
だって俺が彼奴の手を払った時の顔、
スッゲェしかめっ面で怯えてたぞ。
…バレたかな。
バレてないといいな。
まだ、きっと大丈夫だ。
でもそろそろ彼奴が勘付くかもな。
まぁ、そん時はそん時だ。
俺は大きく深呼吸をすると、保健室の戸を開ける。
「失礼します、阿伎留(アキル)先生。
紺珠と死川です。」
「…また君達なの〜?今度は何して…。」
「えっと、天津烙先生の襲撃にあって怪我がないか
診てほしくてきました。」
「ほんっとに気をつけてよ〜?女の子なんだから。」
最後のは気を使って小さめに言ってくれた。
文句言いながらも診てくれる阿伎留先生は優しい。
先生の中で一番優しいかもな。
「天病ちゃんの方は特に大丈夫。
さ、紺珠ちゃん、ここにお座り。」
阿伎留先生は自分の前にある椅子を指して言った。
「ちゃんはやめてくださいって。」
俺は抗議しながら座った。
器用な手つきで診察していく。
ピタリと阿伎留先生の手が止まった。
チラリと俺が先生の方を振り向くと、
険しい様な、悲しい様な顔をしていた。
「先生?どうしました?」
先生の機嫌を伺いながら俺は尋ねる。
「紺珠ちゃん…。」
次の瞬間俺を背後から抱きしめた。
「…!?」
「…頑張ったね、怖かったよね…。
泣いてもいい、愚痴ってもいい、だから、」
一呼吸置いて先生は俺に言った。
「我慢しなくていいからね…?」
さらに抱きしめる力が強くなった。
「先生、大丈夫だよ、俺は我慢なんかしてない。
怖くもないよ。だから安心して?」
俺は向き直って
優しく先生に微笑みかける。
「…何で先生泣いてんですか…。」
凄い顔がグシャグシャだ。
俺はつい、フ、と吹き出してしまった。
「…何で笑うの。」
「だってセンセ、顔グッシャグシャ…!!」
笑いを堪えられず爆笑してしまった。
「あははは!!セ、センセ、その顔やめて w」
俺の笑顔を見て安心したのか先生も笑った。
「紺珠ちゃん、背中にね痣があるの。
多分押し倒された、と思うんだけど。」
「そうですね。」
即答していく俺。
阿伎留先生は心配そうに言った。
「…制御剤、いる?」
制御剤とはトラウマが蘇り、
理性が抑えられなくなった時にもらうものだ。
「大丈夫っすよ。」
俺は笑顔で立ち上がりながら、
「それじゃ失礼します。」
と、保健室を後にした。