シャッターを押したら君と恋に落ちる。〜カスミソウの花言葉〜
そして何かを決心したような表情で私の方を見てきた。

「先輩の全部です!でも強いていうなら、美しいところです」

「美しい………ところ?」

私にそんなものはない。
私の心は汚れている。
真っ黒に塗りつぶされている。
だから美しくなんてない。

「先輩を一目見た時に思ったんです。あぁ………、こんなに綺麗な人がいるんだなって」

そう言う彼の瞳に私は目が離せなかった。
全て吸い込まれそうな気がした。
その瞳にはくもりひとつない綺麗な瞳をしていたから。
あまりにも綺麗だったからそらせなかった。

「先輩、俺のことだんだんわかってきましたか?」

そう言われてハッと気がつく。
そうだった。
もともと飯島君のことを知るために仲良くなったんだ。
私が君のこと知らないからって言ったから。
だから君は私に知ってほしかったから言ったんだ。

「うん、なんとなくだけどわかってきたよ」

わかってきたよ。
だから怖いんだ。
どんどん知っていくと離れられなくなってしまいそうで………。

「でもごめんね。わかったとしても気持ちは今はまだ変わらない」

「………そうですか」

だから私は絶対に彼とは恋をしたくない。
だって怖いから。
< 13 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop