シャッターを押したら君と恋に落ちる。〜カスミソウの花言葉〜
「ちょっと友達に誘われて………」

「アルバイトしようって思ってんの?しかもあんたに友達いたんだ?」

「っ………」

友達なんて………いない。
だって私が作ろうとしなかったんだもん。
裏切られらのも怖い。
友達を信じられないし。
だから一人でいたかった。
けど今は違う。
飯島君がいるから。
友達ではない。
好きな人がいる。

「うん、友達………いるよ」

だけど今だけは嘘をつかなければならない。
そしてはやく嘘を言わなきゃ。
必死に頭を働かせた。

「でもアルバイトしちゃダメでしょ?だから断ったよ」

「わかってるならいいわよ」

お母さんはゴミ箱に捨てた。
………あとで拾わなきゃ。

「聖奈、おつまみ買ってきて」

「………はい」

アルバイトをしたらお母さんに怒られる。
だからアルバイトはしない。
だけど今年はしたいんだ。
アルバイトをしたいからお母さんに嘘をつく。
あとでどうなるかわからないけど。
それでもアルバイトがしたい。

「これでいいかな?」

私はスルメイカとサラミを持ってレジに並んだ。
明日、どうしよう。
お母さんはたぶんほんのちょっと私を疑っているかもしれない。
だからどうにかしないと。
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