シャッターを押したら君と恋に落ちる。〜カスミソウの花言葉〜
「………っ、怪我はなさそうですね、よかった」

私は彼の体を見て、怪我がないのを確認するとほっとした。
いくら男の子でも怪我はダメだよね。

「では、私はこれで………」

いち早くもこの場から逃げたかった私は作り笑いで行こうとしたのに………。

「待って………!」

男の子が私の腕をつかんだ。
その瞬間、私は。

ードンッ

彼を突き飛ばしていた。
だって男の子苦手だもん………。
その男の子はむくりと起き上がると私の方をじーっと見つめてきた。
謝れってことかな?

「えっと、すみません………」

私は一応、謝った。
だけど男の子はずっと私を見たまま私から目をそらさない。
だから私も彼を見つめたままだった。
目をそらそうと思えばそらせたのに………。
私は彼の目を見つめたままそらせなかった。

「好きです」

「へ?」

唐突に彼は私に〝好きです〟と告げた。
私はびっくりして変な声が出てしまった。
恥ずかしい………。

「えっと………」

それでも私は彼の言葉がずっと心の中でこだましている。
だから私はどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

「すみません、急に………」

と、男の子は申し訳なさそうな顔で謝ってきた。
そしてはっきりと彼の顔を見ることができた。
私はその男の子の顔を見て思った。

〝シャッターを押したい〟

そう強く思った。
だけど我慢して私は頑張って笑って言った。

「ううん、大丈夫です。私の方こそごめんなさいね」

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