シャッターを押したら君と恋に落ちる。〜カスミソウの花言葉〜
「聖奈、開けなさい!話があるんだ!」

父親は扉をドンドンと叩いた。
だけど私は絶対に開けない。
私はあいつと話すことなんてなにもない。
捨てられたんだから。
私とお母さんは………。

「今さらなに?話すことなんてないでしょ?」

はやく帰って。
そしてお母さん、早く帰ってきて………!
私は祈った。
今日はなんて最悪な日なんだろう。
大好きな人は倒れるし。
会いたくない人がくるし。
もう………疲れちゃった。

「聖奈………」

諦めたのかな?
じゃあもう少ししたら出ればいいかな?

「?」

なんかすごい静か………。
もう帰ったのかな?
でも玄関の音がしてないし………。

「っ………」

じゃあ………どうやって………っ。

「聖ー奈ー」

ービクッ

「っ!?」

父親はお母さんの部屋から私の部屋に繋がっているところを使ったんだろう。
私の部屋に来た。
私は怖くて声が出なかった。
力が入らなくてその場に崩れ落ちた。

「あっ………」

どうしよう………。
このままじゃ………っ。

「聖奈………いっしょに、」

父親の言葉を最後までは聞かなかった。
いや、聞けなかった。

「なにやっているのよ!?」

ーお母さんが帰って来た。
そして。
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