シャッターを押したら君と恋に落ちる。〜カスミソウの花言葉〜
「………俺は」

数秒間の沈黙のあとにやがて言った。
それは飯島君の思いが………痛いほどわかったんだ。

「わかった、いいよ。私も飯島君を撮りたい」

ちゃんと………真っ正面から。

「ありがとうございます、先輩!」

ねぇ、飯島君。
私は君と離れたくない。
お願いだから死なないで。
怖いよ、君がいなくなるのが。
たまらなく………。

「私………大丈夫だよ、もう」

だけど離れるときがくるんだ。
怖くても辛くても。
悲しくても………。
生きるために。

「だけど今は………飯島君のそばにいたい」

だって私は君のことが大好きなんだもん。

『………俺は、まだ………今もずっとあなたのことかま好きです。なのであなたが撮った写真を俺は持っていたい。あなたのそばにいるときの俺の顔をみたい』

『………飯島君』

『あなたのことが好きです。今も………ずっと』

「私も………」

勇気を出すんだ。
もう………間に合わないのも手遅れなのも嫌だから。

「私もあなたのことが大好きです!」

私は泣きながら笑った。
愛しい人を見ながら。
幸せを噛み締めながら。
そして飯島も泣いたいた。
通じた思いもあと少しで終わり。
それを私たちはわかっていたから。
だけど止められないんだ。
この恋を。
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