いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

「私自身ただのラッキーで坪井くんと付き合えてるのもわかってます」

「……ラッキーって何いきなり、今度は自慢?」

呆れたように肩をすくめて小野原は言った。

「だから小野原さんによく思われてなくても仕方ないし、何されてもこんな私だから仕方ないよねとか思ってて」

いきなり始まった真衣香の演説じみた声を怠そうに腕を組んで小野原が眺めている。

「……はぁ、いい子ちゃんもここまでくるとめんどくさ。 会話噛み合わないんだけど」

そしてボソッと呟き真衣香を見据え、今度は冷静な声を出した。

「坪井くんが味方なんだから、もっと強く出ればいいじゃない。 彼、部長のお気に入りだもん、ハッタリじゃないよ。本気で言えば私なんて担当外せるし異動だって」

「坪井くんの仕事の速さとか正確さとか!」

慌てて口を挟んだ真衣香の声が、響いて小野原の声を止めた。

営業課の電話が鳴る音や話し声を何となく耳に入れながら、真衣香は小野原に向けてゆっくりと伝える。

「この間初めて間近で見て知ったんですよ。 同期なのに、全然何も知らなくてビックリして。そんな坪井くんの担当の営業事務が誰にだってできるわけないじゃないですか」

「だからさ」

何やら口を挟みたそうな小野原の声を待たず真衣香は話し続けた。
正確には、沈黙や小野原の言葉が怖くて待つことができないのだけれど。

「そ、それに誤解してます、坪井くんは私の味方なわけじゃないです。 きっと自分が正しいと思うことを発言してるだけです」

「え?」

< 100 / 493 >

この作品をシェア

pagetop