いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「小野原さんが正しいんだって坪井くんが判断したなら、プライベートでどんな関わりがあろうと無条件で庇ってきたり味方してきたりなんてしません。だから今回は小野原さんがやり過ぎた。でも私だって何も気づかずに引き受けた、坪井くんだって言い過ぎた」

真衣香は真っ直ぐに、小野原の目を見て言い切った。

「坪井くんは思ったことを口にしてしまうと自分で言ってました。 私の味方とかそんなのじゃなくて彼の中で決めた〝正しいこと〟があるんだと思うんです、それをを伝えたい時きっと一生懸命になり過ぎてしまうんです、だから」

「誰の味方でもないし、小野原さんを傷つけようしたわけでもないと思うんです」と最後に付け加えた真衣香を、小野原は何も言わずに見ている。

沈黙は怖いが、先ほどまでの刺さるような怒りは感じないような気がする。
と、真衣香は勢いのまま更に声を出した。

「だから私は私の謝りたい部分だけ伝えたくて追いかけてきました」

「……謝りたいこと?」

組んでいた腕を下ろして、少し歩み寄りながら反応を返してくれた小野原に、真衣香は内心ホッとしながら問いかけに応える。

「は、はい! 邪魔かもしれないけれど引き下がりたくないことと、きちんと確認もしないで騙されたまま仕事を引き受けたことです、ごめんなさい」

言いながら頭を下げた真衣香。
少し経って顔を上げても小野原は何も答えない。

真衣香にとっては数時間にも感じる。恐らくはほんの少しの沈黙。
それを破ったのは小野原だった。

「……はぁ〜、なるほど、そっか」

「え?」

あまりにもさっぱりとした返事に真衣香は間抜けな声を返してしまう。

< 101 / 493 >

この作品をシェア

pagetop