いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



「ははは、あの状況じゃ追いかけるでしょ、多分誰でも」

「……そうかな、ってか! み、見てたなら聞かなくても知ってたじゃない。 坪井くん酷い」

言いつつ思い返す。

(よそのミーティグに乱入した挙句挨拶もせず飛び出して行ったら、そりゃ、そうだよね追いかけるよね)

何なら当事者だった訳なのだから当然だ。

「そうだよ、森野も追いかけてったし」

「も、森野さんも……」

少なくとも二人の人間に目撃されていたのだ。
ここにきてようやく冷静になったのだろうか。 
小野原とのやり取りを思い返して真衣香は顔が赤くなっていく感覚を覚えていた。

(って、違う待って!)

そして呑気に照れていた自分に真衣香は激しく喝を入れた。

(坪井くんのことなんかわかったふうに語っちゃってなかった!? え、どうしよう、聞かれてたんだよね)

恐る恐る壺井を見上げた。
真衣香を見ていた瞳とすぐに目が合う。
「ん?」と尋ねる声が優しい。

「あ、あの、ごめん」

「え、今度は何? どうしたの急に。 俺の方が謝る心当たりなら死ぬほどあるけどさ」

真衣香の頭を短く撫でた後、うーん、と顎をを持って考える仕草を見せる。

「知ったような口聞いて、坪井くんのこと」

真衣香が答えると「ああ」と短く頷いた。 その後きつく手を握りなおして言った。

「はは、謝っちゃうの? 俺結構感動してんだけど」






< 105 / 493 >

この作品をシェア

pagetop