いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
恋愛の経験値や偏差値を数字にして、または重さにして表すことができるなら。
その差は言うまでもなく歴然だろう。
けれど二人の数字は、これから二人の間だけで生まれて積み重なっていくものなのだ。
(ちょっと、嬉しいな)
下を向いてニヤけてしまいそうな口元を隠す。
すると、強い力が腰に巻きついてきた……かと思えば耳元で声がする。
「ね、お前まさか笑ってないよね?」
吐息まじりの、少し拗ねたような不服そうな声。
「わ。わわ、笑ってなんか!?」
「嘘つくの、マジで下手だね〜、お前。 うん、俺と違って素直で可愛い」
ふう、と耳に息を吹き替えながら言われて真衣香の背筋に力が入る。
そんな真衣香の腕を引き、壁に押し付ける。
見れば、話してゆっくり歩いているうちに駅についていたようだ。
改札に続く下り階段の端……ちょうど柱の影になっている部分に真衣香は押しつけられるようにして固定されている。
「つ、坪井くん!」
「相変わらず耳弱いね、ダメだよ立花」
「な、何が……」震える声で真衣香が言うと人目につきにくいであろうことをいいことに坪井は真衣香の耳に再び息を吹きかけた。
「こんな可愛い顔外で見せないでよ、心配じゃん。 結構マジで言ってるから気を付けろよな」
言った後耳たぶを軽く噛んで、小さく深呼吸した。
そのあと何度か深呼吸を繰り返して、坪井は声を発した。