いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



けれど、すぐに彼女に変化があった。
コロコロとよく動いていたはずの表情は暗く陰が落ちることが多くなった。
それでも『ちょっと寝不足』なんて言葉を鵜呑みにしていた。

やがて、たまにしか学校で見かけなくなってきた。メールをしても『体調が悪いだけだよ、ありがとう』そう、返ってきた。
また、鵜呑みにした。

当時“付き合う“なんて、その言葉だけが一人歩きしているような幼い状態で。友人たちとの関わりの方が結局は楽しく深かったのだ。

”彼女”という響きを、自分のものにできたこと。まわりよりも少し早く大人になれたような優越感。
支配していた喜びの割合は、そんなものの方が大きかった。

加えて学生の頃って、何故だろう。隣のクラスは遠く感じていて。まるで別世界のように隔たれている空間のようで。独特の閉塞感があった。

けれど、それらが。ただ目を背けるための言い訳だと今ならばわかる。
当時は、自分の目の前に広がる、その景色以外を……見渡すなんて概念がなかっただけなのかもしれないけれど。

『おまえ、隣のクラスの可愛い子、付き合ってから何した? どこまでやった!?』

お決まりの男子中学生らしい、ゲスな詮索に『うるせーよ』と笑って返す。

しかし、その後続いた言葉に衝撃を受けた。
< 221 / 493 >

この作品をシェア

pagetop