いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



***

車で30分ほど走っていたと思う。高柳はパーキングに車を停めて助手席の扉を開け、座る真衣香に手を差し伸べた。
それを避けるのも、おかしな話なので素直に手を取り車から降りる。

数分ほぼ無言で歩き、高柳に促されるまま店内に入った。

入る前、入り口横にチラリと見えた小さな看板には創作料理と書かれており、もちろん初めて入る店だ。

(わ、綺麗……というか、オシャレだ)

目の前に広がった光景を、思わず見渡した。

店内は全席が半個室となっており、グレーの大理石調の床を、オレンジのライトが優しく照らす。
壁や天井、ライトのまわりなど。至る所に観葉植物や花が飾られていて可愛らしい雰囲気も受けた。

店員に案内された席へ向かう高柳のうしろを、きょろきょろとしながらも。真衣香はやはり無言でついて行った。

「どうぞ、立花さん」
「……あ、す、すみません」
「そうかしこまらないで。今は、仕事中ではありません」

仕事の話があるのなら仕事中ではないのだろうか?浮かんだ疑問をすぐに頭の隅に追いやって、高柳がスマートに引いてくれたイスに素直に従い座った。

続いて高柳が真衣香の正面に座る。「どうぞ好きなものを頼んで下さい」と、メガネの奥の瞳が細くなり笑みを作っていた。

高柳に手渡されたメニューには色とりどりの野菜とフルーツを使った写真が目立つ。

(た、高柳部長のイメージじゃないというか)

メニューもヘルシーなものが多いし、それなのに可愛いし。女の子が好きそうなお店だなぁ、と。感じていると、高柳が口を開いた。

「同伴者が女性の場合はここに来ることが多いです、どうでしょう。何か食べられそうですか」
「あ、と、とても素敵なお店ですね!さ、サラダとか……このピザもおいしそうです」

考えを読まれたのかと、真衣香は咄嗟にメニューをまじまじと見つめて目についたものを声に出した。

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