いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



(って、言っても……まだ2回目だけど)

早く、こんなドキドキが当たり前になってくれないかなと焦る気持ちと。
いつまでも大切にしたい気持ちがせめぎ合っている。

(……なんて、ね。それどころじゃないってば)

また呑気に考えながら、坪井は何か大事な話をしに来たのだと気を引き締める。
坪井にソファーへ座ってもらってから、急いでキッチンに戻り、インスタントコーヒーを棚から取り出す。

もうちょっと何か用意してればよかった、と少し後悔しながら坪井のもとへ用意したコーヒーを運んだ。

ふと見れば、コートを着たまま、脱ぐ様子がない。
すぐに帰る予定なのだろうか?と、少し残念に感じながらも、手前にあるテーブルにカップを置いた。と同時、坪井が口を開く。

「さっきまで、優里ちゃんと会ってたよ」
「……え?」

真衣香は、坪井の口から友人の名前が聞こえて来たことを瞬時に飲み込むことができずに、うまく反応を返すことができない。
それも、今、思い出していたばかりの優里の名前。

「え? 優里って、優里? どうして坪井くんが……」
「ごめん、最初会社の前だったから、いっぱい見られたしさ。明日には色々言われてると思うから、先にお前に伝えときたくて」

それはそうだろう。
目立つ坪井の行動など、噂のネタでしかない。
しかし、真衣香はそれよりも気になって仕方ないことがある。
もちろん、優里のことだ。

放っておけば震えて、まともに喋れそうにない唇に力を込めながら問いかける。

「どうして優里と坪井くんが一緒にいたの? どうして? どうして……優里のこと知ってるの?」

言葉にしながら、段々と坪井の言葉を認識し出した頭の中。次第に声が大きくなってしまった。
対して、坪井はそんな真衣香の反応など予想していたかのように落ち着いた様子で、立ったままの真衣香を見上げていた。

「優里ちゃんのことは今日まで、お前から名前聞くくらいでしか知らなかったよ」

言いながら坪井は、真衣香の腕を掴み、引き寄せて。
やや強引に隣に座らせる。
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