いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
幼い子供のじゃれ合いのようなそれから、徐々にゆっくりと、服の上から胸元に坪井の唇が何度もキスをするようにして触れるようになる。
次第に漏れ出る熱い吐息と、艶めいた声が部屋に響き、受ける坪井の呼吸も負けじと乱れていった。
その乱れた呼吸に真衣香の身体は、はしたなく疼き出す。
早く欲しい。
全部欲しい。
自分以外の全てを忘れて欲しい。
内側から、いい子ばかりの仮面を剥ぎ取るように、湧き出る本音をもう隠せない。
「どうしたら、もっと……嬉しい?」
「え?」
「私のことだけしか、どうしたら考えられなくなる?」
坪井の指先が触れるたびにピクリ、ピクリと何度も身体が震えて甘い声が漏れる。
快感が程よく羞恥を奪って、大胆にさせてくれているみたいだ。
「……え」
起き上がって、たくましい胸元を、トンと押して。
真衣香は、くるりと体勢を逆転させた。
こんな風に彼を見下ろすのは初めてのことだ。
「私から、したら、嬉しい?」
「え、え! いや、ちょ、嬉しいけど……、っう、わ」
坪井が身につけているオーバーサイズのパーカーをふわりと捲し上げて素肌に触れると。
驚いたあとに、その口から熱のこもった声が漏れた。
「ちょっと、も~、待って。喜ばせすぎだろ、俺ばっか嬉しい」
間近で見る初めての照れた顔。
愛おしくて、そっとキスを落とした。
張り詰めた彼の欲情に気がついた真衣香が、思わず微笑むと、何か観念したようにまた深いため息が聞こえてくる。
「どこでそんなの覚えてくるの」
「坪井くんから」
「教えてないだろ、怖いなぁ、お前は」
どこまで可愛くなっちゃうんだろうな、と。今度は少しさみしそうに囁いて。
手を伸ばした坪井が、やはり慣れた手つきで真衣香の服を剥ぎ取っていく。
既に坪井の手によって乱されていた下着が、頼りなく身体を隠していたけれど。
それもすぐに暴かれていく。
上に乗ったまま、けれど主導権はやはり譲ってなどくれなくて。
突き上げられた熱を何度も何度も、この夜、真衣香は受け止めることとなってしまった。
けれど心地いいのは。真衣香の中にある狡さも、醜さも、隠したかったもの全て。坪井の身体の中に刻み込むように深く浸透させて。
交わり合えた夜だったからだろうか。