いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
『お前が、目立つ部署を嫌がるのもわかるよ。 どれだけ実力があっての異動でも言われてしまうからね』
『あー、まあ。怠いわな』
『ははは、そうか。しかし言わせんようにするのもまた仕事のうちだ』
うーん、と腕を組み考える。
『まぁ、すぐにじゃねぇんだろ』
確かに、真衣香ひとりでも総務は恐らく大丈夫だ。ここは人事が独立して存在してるし、その手間がないだけでも、過保護になる必要は大野が言うとおり必要ない。
『そうだね。半年後くらいかね、新年度に』
『了解、受けますよ大野部長』
大丈夫だ。真衣香はきっと、山本に次ぐ活躍をするだろう。
社内の人間を繋ぎ、また円滑に日々が動くよう、そんな場を作ろうと切磋琢磨するだろう。
目立たないこと、縁の下の力持ちがクローズアップされることは、実はそんなに多くないのだ。
実際に、この数年の間に育てようとした後釜は何人か退職したり異動希望を出し続け、去った。
しかし真衣香にはその環境に腐らない、静かな頑固さがあるように思う。